ペイズリー市とペイズリー模様

公開日: : 最終更新日:2014/08/26 素材・生地 , , ,

ペイズリー模様はインドのカシミール地方で基礎的な部分が形成され、ヨーロッパ向けの織物を生産する過程で現在の形に洗練していきましたが、一方で名称はスコットランドのペイズリー市が語源となっています。(形態の名称としては「松かさ模様」という呼び方があります。)つまり、ペイズリー模様が生まれた場所では無いわけですが、では、ペイズリー市とはどのような都市だったのでしょうか。

インドから輸入されていたカシミール・ショールがヨーロッパで人気を博し、やがて18世紀末頃からフランスのリヨンやイングランドのノーウィッチ、スコットランドのエディンバラなどで模造品を作る試みがなされます。

1805年にエディンバラの業者のペタースンがペイズリー市の織工が低賃金である事に着目してショール生産を開始しました。これに他の業者も追随し、ペイズリー市はショールの産地として有名になりました。一方で、1818年の現地の業界新聞「織工新聞」が残っているものの、いわゆる「松かさ模様」についての言及は無く、この頃は松かさ模様のショールは殆ど生産されていなかったようです。というのも当時は技術的成約が大きく、残っている松かさ模様も形が単純で、かつ小さく、更に色も小さいものでした。

しかし、フランス人ジャカールが開発したジャカード織機がショールの生産性を飛躍的に高め、安価なショールを大量生産出来るようになりました。産業革命の流れの中で、デザインにリソースを投入出来るようになり、より精巧かつ大きなデザインを織り込んだショールを生産出来るようになりました。

ペイズリー市は、この技術革新の波に乗ってショール生産を飛躍的に拡大し、やがて模様自体が「ペイズリー模様」と呼ばれるようになったのです。

ペイズリー模様を多用した手紡ぎ手織物カーディーのインドストールはこちらで販売しています。

参考文献
城一夫(1995)『西洋染織文様史』朝倉書店

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