インド綿織物が西洋に与えた影響

織物文化への影響

17世紀初頭にイギリス東インド会社ヨーロッパがインドで香料貿易を始めた頃からインドの綿織物はヨーロッパに輸入されていましたが、最初は兵士が土産物として持ち帰る程度でした。とは言え、その薄さ・軽さ・鮮やかさが西洋人を驚かせ、少しずつ輸入量が増えていきました。

最初はインド製の綿織物をそのまま輸入していましたが、1640年代頃から英国のニーズに合わせたデザインを行う要求が増え、1660年代以降には英国的デザインが描かれた見本を送付して生産が行われるようにもなりました。とは言え、インドの織工も完全に西洋風の綿織物を生産するわけではなく、アジアとヨーロッパのデザインがミックスしたものを生産し、双方の織物文化に影響を与えました。

17世紀後半以降になるとインド産のチンツ、キャラコ、モスリン等の人気が高まり、特にキャラコが上流階級の女性の中でブームとなり、やがてキャラコを国産化しようとする試みがなされます。

思想への影響

ヨーロッパ各国によるアジア諸国の植民地支配の中で、植民地各国の産品を紹介し、産業振興を図る試みがなされました。その皮切りが世界最初の万博であるロンドン万国博覧会(1851年)で、東インド会社は16万ポンドの資金を費やしてインド産品を収集して展示し、注目を浴びました。

その時の産品の一部は博覧会後にインド博物館に収蔵され、フォーブズ・ワトソンは1866年にその中から700枚を選んで『インド製染織品の見本とイラスト集』という見本帳を作り、英国の繊維産業中心地とインド各都市に配布しました。この見本帳は英国の繊維製品をインドに輸出するための商品開発に役立てるものです。

更に1878年のパリ万国博覧会ではジョージ・バードウッド卿が『インド宮廷ハンドブック』を出版した事が、インド手工芸品をヨーロッパに広く知らしめる事になり、産業美術・デザインの開発需要が高まっていた英国で「非西洋デザイン」に注目が集まりました。

バードウッドのクラフツマンシップを理想化する思想は、ウィリアム・モリスなど西洋近代文明に批判的だった知識人に影響を与え、アーツ・アンド・クラフツ運動などに繋がっていきました。

pracyaでは、西洋に影響を与えた手紡ぎ手織物カーディーであるインドストールを販売しています。

参考文献
金谷美和(2007)「布がつくる社会関係――インド絞り染め布とムスリム職人の民族誌――」思文閣出版

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