現代色彩論の礎となったゲーテとシュヴルールの色彩調和論

公開日: : 最終更新日:2014/11/19 ライフスタイル

色彩論色彩調和論において現代よく使われる理論は、マンセルシステムやPCCS(日本色研配色体系)などの色相環や色立体を利用した実証性の高いものですが、そこに発展するまでにも多くの色彩調和論があり、現代色彩調和論に影響を与えたものもあります。ここでは、ゲーテとシュヴルールの色彩調和論を紹介し、色相環・明度・彩度・色相についての基本的な考え方について学びましょう。

ゲーテの色彩論

ゲーテは『色彩論』という名前の色彩調和論についての著作を残しています。このゲーテは、殆どの人がゲーテと聞いて最初に思いつくと思われる『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』で有名なヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテその人です。

ゲーテ以前の色彩調和論は、ピタゴラス学派による音楽理論を援用したものが主流(脚注)で、ニュートンも同様の色彩調和論を展開した事もありましたが、ゲーテはニュートンの色彩調和論を一蹴した上で、色相環を元にした幾何学的・規則的な色彩調和論を展開しました。

ゲーテの色相環は、以下の画像のように表現されており、赤・赤青(紫)・青・緑・黄・赤黄(橙)の6色だけで表現されるシンプルなものでした。

ゲーテの色相環
図:ゲーテの色相環

ゲーテは、この色相環上で

  • 呼び求め合う色:色相環で向き合う反対色の調和
  • 色彩の特異な組合せ:色相環で2つ隣同士の組合せ
  • 特異さの無い組合せ:色相環で隣同士の組合せ

という3つの組合せを整理しています。現代色彩調和論の色相環と違って主観的な分類となっていますが、「異なる色を同一円上に並べる」という色相環を利用した色彩調和論の先駆けとして重要なものと言えるでしょう。

シュヴルールの色彩論

シュヴルールはフランスの科学者及びゴブラン織り(タペストリーの一種)工場長で、色彩調和論における業績で最も重要なのは「色立体」の考案と「実験的研究」による色彩調和論です。色彩比較において明度・彩度・色相の違いを重視し、色相だけでない現代色彩調和論に極めて近いものを作りました。現代色彩調和論への影響という観点で言えば、直接的にマンセルシステムやPCCSに影響を与えたという点で極めて重要なものです。

シュヴルールは、(1)色彩対比の小さい近似調和、(2)色彩対比の大きい対比調和を基本としつつ、それぞれを更に3分類した計6つの色彩調和を整理しました。

色彩対比の小さい近似調和
明度近似の調和(同色相で明度がやや異なる調和)
彩度近似の調和(類似色相で彩度が近似する調和)
色相近似の調和(色フィルターを通して見た時のような主調色による調和)
色彩対比の大きい対比調和
明度対比の調和(同色相で明度差が大きい調和)
彩度対比の調和(類似色相で彩度差が大きい調和)
色相対比の調和(補色の調和で彩度差も大きい調和

シュヴルールの色彩調和論は現代色彩調和論の実験的研究にも踏襲されているだけでなく、当時のフランス印象派の画家に大きな影響を与えました。

ファッションのカラーコーディネートを考慮する場合、勿論最新の色彩調和論を参考にしても良いのですが、カラーマーケティングでカラーコーディネート(2):男性と女性で異なる「好きな2色配色」で、

色相・明度・彩度それぞれの概念の理解は最初は難しいですが、各要素を「類似させる」若しくは「大きく離す」事を心がけるのがポイントです。簡単なコーディネートで言えば、色相を類似させた上で、明るさや鮮明さに大きな差を付けるといったものは調和した配色である事が多いので試してみてください。

と書いたように、シュヴルールが整理した6つの色彩調和の原則は「現代日本人の色彩調和の感性」ともよく一致している事が分かり、この6つを覚えておくだけでも、カラーコーディネートがとてもしやすくなるでしょう。

脚注:ピタゴラス学派は、振動数の比が単純な整数になる場合に協和音になるという事を中心に音楽理論を整理し、色彩調和論にも援用されていました。「色が視覚神経に与える振動の比が整数になる時に色彩が調和していると感じる」という類の言説で、18世紀頃までは色彩調和論の主流でした。そもそも、色彩調和(color harmony)という言い回しのうちharmonyは、調和・秩序・和解の象徴であるギリシア神話の女神ハルモニアが語源であると言われていますが、このharmonyという言葉自体が「音楽における和音の調和」という意味合いで使われる事が多い事からも、この関連の強さが分かるでしょう。

参考文献
[1]松田隆夫・高橋晋也・宮田久美子・松田博子(2014)『色と色彩の心理学』培風館
[2]J.W.V.ゲーテ(2001,木村直司訳)『色彩論(ちくま学芸文庫)』筑摩書房

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