カラーマーケティングでカラーコーディネート(2):男性と女性で異なる「好きな2色配色」

公開日: : 最終更新日:2014/11/17 ライフスタイル

前回、年代・性別毎に好まれる色の傾向が異なる事を理解し、それを活かしたファッションのカラーコーディネートの方法について考えました。とは言え、ただ闇雲に「ターゲットとなる人が好みそうな色」を組合せてコーディネートしても、奇妙な組合せになってしまう場合があります。「カラーコーディネート」において最も重要なのは「配色」であり、その配色が好まれてこそ、カラーマーケティングの観点で相応しいカラーコーディネートになるのです。

そこで今回は、色彩心理学の先行研究から「2色配色」の嗜好についての調査を取り上げ、性別別にどのような配色が好まれやすいかを見ていき、それに沿ったカラーコーディネートを考えてみましょう。

2色配色がどのような色彩感情を起こすか

神作(1963)は、2色配色がもたらす色彩感情を因子分析で特徴的な要因として以下の4因子を抽出しています。

  • 気持ちの良さ(寄与率43%)
  • 明るさ(寄与率21%)
  • 強さ(寄与率19%)
  • 暖かさ(寄与率8%)

特に「気持ちの良さ」は寄与率が43%に達し、2色配色の上手さによって相手を快くも不快にもさせる可能性が高い事が示唆されます。

伊藤(2007)は、2色配色がもたらす多様な色彩感情の相互関係を検討しています。結果の概要は以下のようになっています。

  • 「調和」と「好きな」:同一色相配色・異色相配色のいずれでも強い正の相関(0.88と0.83)
  • (1)「派手な」と「スポーティ」、(2)「緊張した」と「ゴージャス」:それぞれに強い正の相関
  • 「ゴージャス」:「調和」及び「好きな」との間に弱い負の相関

「調和」と「好きな」が強く正の相関関係を持っており、要するに「調和していると感じるほど好きである傾向」が見られています。似た色相でも異なる色相の配色でも同じ傾向があり、神作(1963)の「2色配色の調和が快・不快に影響しやすい」という結論と一致します。「派手な」と「スポーティ」、「緊張した」と「ゴージャス」も強い正の相関関係を持つ事も直感と一致するところだと思います。

注意したいのは、「ゴージャス」が「調和」・「好きな」の両方に対して弱い負の相関関係を持っている事です。勿論、因果関係が実証されているわけではありませんが、「ゴージャス」であるからと言って、それが「好まれる」かどうかは分からない(寧ろ嫌がられる可能性)があります。ゴージャスな印象は、ある種の「奇抜さ」を内包している事が多く、それは目を惹きますが、逆に言えば一般的に見られる「調和した配色」ではない事が多いからだと思われます。

2色配色の嗜好の男女差

一般に色彩感情の個人差は女性の方が男性よりも大きい事が様々な先行研究から分かっていますが、では具体的にどのような違いがあり、どのような配色が好まれるでしょうか。

国内で2色配色の好悪を調査した代表的な研究の一つに塚田(1955)があります。これは、色彩教育用88色の標準色カードを用いて2色配色の好悪を5群(中学生、高校生、青年、中年、老年)で調査したものです。(古い研究ですが、こうした配色の嗜好は長期間で大きくは変わっていない事が分かっています。)

まず色相に関しては、純色・白・黒を含む配色が好まれており、各色単色の好悪が影響しやすい事が分かっています。色相差に関しては、

  1. 全体で色相差0,8,12の配色が好まれ、2,4が嫌われる傾向
  2. 男性:色相差8,12の対立的色相の配色を好む
  3. 女性:色相差0の同色相配色を好む

という傾向が分かっています。ここで色相差というのは、日本色彩研究所が作成した下図のPCCS(日本色研配色体系:Practical Color Co-ordinate System)色相環に出てくる24色相内での差を言います。

PCSSの24色相環
図:PCSSの色相環
出典:日本色研事業株式会社

色相環において同じ色相の色だと色相差0、隣り合う色相の色だと色相差1、ちょうど対向する位置の色相の色同士だと色相差12のようになります。男性は特に色相差8や12といった補色やそれに近い「色相差が明確な配色」を好む傾向があります。一方で女性は色相差0など似た色相での配色を好む傾向(明度や彩度で差をつけた配色)があります。また、色相差2や4といった「中途半端な色相差」が嫌われる傾向があります。

明度に関しては「明度差が大きいほど好まれる傾向」があり、小さい時は嫌われる傾向があります。彩度に関しては、彩度差が1以下といった小さい時と5~6の大きい時が好まれ、3程度の時が嫌われる傾向があります。

これらを見て分かるのは、色相・明度・彩度いずれにおいても「差が小さい」若しくは「差が明確」である配色が好まれやすく、「差が中途半端」である配色が嫌われやすい事です。ファッションのカラーコーディネートを行う場合は、

  • 2色とも同系色で揃えるが、片方は明るい色、もう片方は暗い色にする
  • 反対色やそれに近い色相の2色にする
  • 鮮やかな色と不鮮明な色で組合せる

といった配色が有効である場合が多いです。(暗い黒に対して鮮やかな色を組合せるといった配色も有効です。)

色相・明度・彩度それぞれの概念の理解は最初は難しいですが、各要素を「類似させる」若しくは「大きく離す」事を心がけるのがポイントです。簡単なコーディネートで言えば、色相を類似させた上で、明るさや鮮明さに大きな差を付けるといったものは調和した配色である事が多いので試してみてください。

参考文献:松田隆夫・高橋晋也・宮田久美子・松田博子(2014)『色と色彩の心理学』培風館

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