色のモダリティ効果を知ってハイセンスかつ温かいカラーコーディネートを

公開日: : 最終更新日:2014/11/10 ライフスタイル

色鮮やかで派手なものからシンプルなものまで、インドストールは色彩豊かですが、その色彩が持つ効果を抑えておく事で、服との合わせ方がうまくなると思います。ここで扱うのは、色が持つ「距離感」・「大きさ感」・「温度感」・「重量感」です。有名なものもありますが、定説が変わってきているものもあるので、ここでカラーコーディネートを勉強しながら同時に最新の色彩心理学の一端を捉えてみましょう。

色のモダリティ効果

本稿で扱う色が持つ「距離感」・「大きさ感」・「温度感」・「重量感」のような、色が色属性(色相・明度・彩度)以外の知覚に影響を及ぼす事を一般に色のモダリティ効果と言います。モダリティ(modality)は一般には「様相」や「手段」などと訳されますが、医学や心理学など人の認知に関わる分野では「五感」の意味で使われます。要するに、色が五感に与える影響の事を言います。

松田ら(2014:139-141)は、その中でも、距離感や大きさ感に与える効果の事を色のモダリティ内効果、温度感や重量感に与える効果の事を色のモダリティ間効果と分類しています。

色のモダリティ内効果

進出色と後退色

色のモダリティ内効果のうち、距離感に与える効果としては、進出色後退色があります。要するに、同じ距離でも色によって近く見えたり遠く見えたりする効果を言います。実験では、灰色と比較して同じ距離に見えるように別の色彩を調整した時の距離で計測されています。一般には以下のように分類され、近くに見える進出色は赤・橙・黄などで、遠くに見える後退色は青、その中間としての中性色が緑・紫です。同じ色相の場合は、明るい部分が近くに見えます。

色と距離感
効果
進出色 赤・橙・黄
後退色
中性色 緑・紫

インドストールと服装の組合せで言えば、鮮やかな明るい進出色のストールに青などの後退色の服と組合せれば、首周りがボリューミーになり、ウエストラインなどはスッキリと見えるといった効果が期待出来ます。これは、後述の膨張色・収縮色とも関連します。

膨張色と収縮色

色のモダリティ内効果のうちもうひとつが色の大きさ感です。膨張色収縮色で表現され、この言葉は一般用語化しており、一般には「白系統が膨張色」、「黒系統が収縮色」と言われます。これは一面では正しく、従来までは、膨張色は黄・白・赤などが該当し、収縮色は緑・黒・青などが該当すると言われていました。

しかし、最近の定説は色の波長よりも明度の方が大きさ感に影響するという事が分かってきており、要するに「明るい色ほど大きく見える」という事です。「白系統が膨張色」・「黒系統が収縮色」という一般的な認識は間違ってはいないのですが、それ以外の赤や青などの色に関しては、この認識だと間違ってカラーコーディネートを行ってしまう可能性があります。例えば、赤は従来は膨張色と捉えられていましたが、暗めの赤であれば収縮して見えやすいのが実情です。実際、各色の明るさと大きさに順位を付けた計測結果で順位相関係数を出すと0.77~0.95に達しており、色と大きさ感は「明るさ」が重要である事が分かります。

「暗い色の方が痩せて見える」というのは一般的に認識されていると思いますが、ストールも同系統の暗い色で合わせてしまうと、全体的に地味な印象を与えてしまいがちです。進出色・後退色でも触れたように、ストールに関しては明るい色を選択する事で、アクセントとしての効果が高いです。特に明るい赤であれば、距離感の効果もあるので、より印象深いものになるでしょう。

⇒参考:赤色のストールに合う香水はこちら

色のモダリティ間効果

暖色と寒色

色のモダリティ間効果のうち、温度感に与える影響については、色は一般に暖色温色)と寒色冷色)に分類され、これも一般に認知されているでしょう。暖色は赤・橙・黄などの長波長側の色、寒色は青緑・青・青紫などの短波長側の色が該当します。進出色・膨張色と判断はほぼ対応しており、赤などは「近くに見え、かつ、温かく見える」傾向があります。

野村(2005)によると、温かく見える色というのは、実は「見える」だけでなく実際に身体を温める効果もある事が分かっています。同じ素材の服を同条件下(気温・湿度など)で着た場合でも、赤色など暖色の服の場合は身体を温める効果があり、青色など寒色の服の場合は身体を冷やす効果があります。体型の見え方を気にして膨張色・収縮色の関係で収縮色の服を選ぶ人は多いですが、収縮色は寒色である事も多いので、身体を冷やしてしまいがちです。そういう意味でも、首周りに暖色(特に赤色)のストールを巻いてやる事で、首周りを生地の効果以上に温かくするので、ファッションとしても実用上の効果としても高いでしょう。

色と重量感

色と重量感に大きく関係するのは「明度」であり、Payne(1961)によると、明度と重量感の相関係数は-0.94にも達し、明るい色ほど軽く見え、暗い色ほど重く見えるという事が分かっています。但し、これは「見え方」の話であり、実際に同じ素材で異なる色の物を持ち上げる実験を行った場合は、しばしば逆の結果が出ています。これは、事前判断の影響(心理学的には判断における過剰補償の影響)が出ているからであり、例えば黒色の鞄を見た時に「重そう」と事前判断をした上で持つ事により「思ったより軽かった」と感じてしまうといった事があります。

重量感に関してはストールはそれほど応用の余地は小さいですが、カバンなどでは、暗い色のカバンは重そうに見えますが、実際には軽く感じたり出来るといった使い方が可能です。

参考文献
[1]松田隆夫・高橋晋也・宮田久美子・松田博子(2014)『色と色彩の心理学』培風館
[2]野村順一(2005)『色の秘密-最新色彩学入門 (文春文庫PLUS)』文藝春秋

プラチヤのインドストールも宜しくお願い致します。

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