インド織物の歴史:(2)ヒンドゥー教の趨勢と仏教美術の成熟

紀元4~6世紀のグプタ朝時代は所謂「インド文化の黄金期」で、バラモン教が復興し、ヒンドゥー教が勢力を持ち始める時期です。仏教自体は衰退していきますが、仏教美術が成熟しており、アジャンター石窟寺院の仏伝図では、絣織を思わせる腰布、絞り染めとおぼしき胸衣を身にまとった人物像、碁盤島・山形文様・鳥・花など多彩な文様などが色彩豊かに描かれています。

7世紀になると、玄奘法師がインド各地の仏教事情を見聞きし、『大唐西域記』として残しています。その中の第2巻は衣生活について記されており、木綿・麻・羊毛など様々な繊維が用いられ、特に白色の衣服が好まれていた事などが記録されています。

時代は飛び、1209年になるとインド最初のムスリム王朝であるデリー王朝が出来、1858年ムガール王朝最後の王がイギリスに廃位させられるまでの間、ムスリム支配が続き、インド文化にイスラム教の影響が強く残るようになります。14世紀にインドに滞在していたイブン=バットゥータは『三大陸周遊記』において当時のインドを「東洋におけるイスラム世界そのもの」であると指摘しています。

インド織物の歴史:(3)ムガル帝国下での染織の発達

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参考文献
畠中光享編(1993)『インド染織美術―畠中光享コレクション』京都書院

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