インド織物が人気過ぎて輸入禁止に

公開日: : 最終更新日:2014/08/26 インド織物の歴史

17世紀から多数のインド織物が西洋にもたらされ、上流階級を中心に空前のキャラコブームが起こるわけですが、一方で西洋で主流であった絹織物や毛織物に打撃を与え、毛織物業者や絹織物業者の圧力も相まって、ヨーロッパ各地で木綿捺染布を禁止しようとする動きが出てきます。

いち早く木綿捺染布を禁止したのがフランスで、1686年には製造禁止令、1690年には輸入売買禁止令が出されました。下図はインドからヨーロッパへの織物輸入量を示していますが、1680年代前半においてインドからの織物輸入量が急増していますが、フランスの輸入・製造の規制によって輸入量が激減しています。

インドからの織物輸入量
図:ヨーロッパのインドからの織物輸入量
出典:竹田(2013:31)
注:縦軸は輸入量(枚)、横軸は年

1690年代後半からの輸入量が増加しているのは英国でのインド織物のブームが遅れてきているからです。イギリスでは1700年にインド・ペルシアからの綿布捺染の使用販売禁止令が出され、1721年には英国製品を含めて全面的に綿布捺染の使用販売禁止令が出されました。

産業革命以前のイギリスは、捺染技術も文様の嗜好もフランスと平行しており、ブームの波はやや遅れていましたが、木綿捺染布を規制する所も含めて、概ね似た歴史を持っています。

1736年にはリネンやファスチアンといった木綿と麻の交織の捺染品は許可されるようになり、特にリネンが流行します。ここからの流れは西洋のキャラコ自給への道で見た通りです。

pracyaではリネンとコットン(木綿)を使った手紡ぎ手織物カーディーのインドストールも販売しています。

参考文献
[1] 佐野敬彦(1999)『織りと染めの歴史――西洋編』昭和堂
[2] 竹田泉(2013)『麻と綿が紡ぐイギリス産業革命』ミネルヴァ書房

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