生命の樹模様
樹木を布面全体に配置し、花鳥などを周囲に置く模様で、掛け布や敷物によく現れ、立木手とも呼ばれます。生命の樹(tree of life)は文字通り「生命」・「不死」などの意味が込められており、上へと広がっていく様子が生命力を表現しています。
窓状のアーチに囲まれる事が多く、典型的なものは下図1のようなデザインです。
「生命の樹」信仰は世界中で広く見られますが、インドの場合は特にイスラム教の影響を受けたものと考えられており、糸杉模様やペイズリー模様とも関連があるという説があります。
織物だけでなく、図2のように寺院や宮殿の壁画や窓などにも頻繁に使われます。
pracyaではアーチ状と生命の樹をルーツに持つペイズリー模様を組み合わせた手紡ぎ手織物カーディーのインドストールを販売しています。
参考文献
[1] 佐藤百合子(1986)「インド更紗・ジャワ更紗にみる模様、構成の特色について」『研究紀要(文化学園大学)』
[2] 大西浩子(1977)『インド更紗入門―インドの自然と哲学から生まれた文様の解説と、バティックの技法(新技法シリーズ)』
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