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ブータ文様からペイズリー文様へ

公開日: : 最終更新日:2019/03/18 インド織物の歴史, デザイン・文様 , ,

ペイズリー模様の項でペイズリーのルーツとして大まかに見て「生命の樹信仰」説と「模様の形態」説がある事を紹介しましたが、城(1995:96-97)はペイズリー文様の発展において両方にルーツを持つを紹介しています。本稿では、この説を再構成する事を試みます。

上記の記事の通り、古代バビロニアではペイズリー模様の原型を「生命の樹」として扱われていた「パインの芽」のシンボルとして利用していました。この文様はヨーロッパではギリシャ・ローマ帝国の写実的な芸術様式に普及が阻止されましたが、インドでは広く普及しました。

城(1995)は、インドにおける模様の変遷を4期に、ヨーロッパに輸出されてからの変遷を3期、計7期に分けて現在のペイズリー模様になるまでの歴史を整理しています。

第1期:16世紀~17世紀前半

根が付いたひなげしの花などが並んだモチーフになっており、ムガル芸術の特質である自然主義的な表現が結合しています。
写実的な花卉模様
図1:自然主義的な花卉模様
出典:筆者撮影

第2期:17世紀後半

花の先がやや左方向に偏り、モチーフが形式的になっていきます。図のような

第3期:18世紀中頃

花柄から根が消失し、花や葉が密集した形になります。

第4期:19世紀初頭

ペイズリー模様に似た、繊細な草花模様としてのブータ文様が現れ、文様構成が緻密化していきます。背景にも花模様が挿入されるようになり、構成が複雑になっていったのが特徴です。

第5期:1820年代

全体を細かな植物文様を埋め尽くすようになり、次第に松かさ型の様相を示していきます。

第6期:1830~1840年代

松かさの文様が細長くなり、無地の部分にも模様を配すようになります。松かさ自体の大きさも大きくなりmす。
大きな松かさ模様

第7期:1850年代以降

より新しい時期になると、単純に松かさ模様を配すだけでなく、地と一体となったデザインをする事も増えます。細長いペイズリー模様が多い事も典型的です。
現代的なペイズリー模様
図3:複雑なペイズリー模様

現代のペイズリー模様

ペイズリーは、ルーツと考えられている植物模様から変化し、様々なデザインの影響を受けて変化してきたわけですが、現代の染織業においては、これらの歴史全てが資源となっており、それらを利用して多様なデザインが行われています。また、敢えて古い形でのペイズリー模様を描くなど、その多様性には驚くべきものがあります。

参考文献
城一夫(1995)『西洋染織文様史』朝倉書店

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