ジャワ更紗の構成:ガリスミリン(斜縞)
布面の全体を斜め向きの縞(斜縞)で構成したものをガリスミリンと言います。代表的なガリスミリンにはパランとウダン・リリスがあります。ジャワ更紗で典型的な構成ですが、インド更紗にも多く見られます。
パラン
ガリスミリンのうち、細長いS字形を斜めに並べた形をパランと言います。ルーツとして挙げられている仮説には、「植物の若芽の様式化説」や「砕け散る波頭の図案化説」などがあります。ジャワでは当初は「禁制模様」として特定の王侯貴族にしか使用が認められていなかったようです。
図1:パラン
出典:佐藤(1986:23)
ウダン・リリス
一方で、同じように斜縞(ガリスミリン)であっても、一列ずつ異なる模様を充填したものをウダン・リリスと言います。ウダン・リリスは「霖雨(ながあめ)」を意味し、中にはパランやチュプロカン、草花など様々な模様を配します。これもパランと同様、当初は禁制模様の一つでした。
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参考文献
[1] 佐藤百合子(1986)「インド更紗・ジャワ更紗にみる模様、構成の特色について」『研究紀要(文化学園大学)』Vol. 17, pp. 15-27
[2] 畠中光享編(1993)『インド染織美術―畠中光享コレクション』京都書院
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